VISUAL BULLETS ー今日もアメコミ三昧ー

アメコミに関するニュースやコラム、書評記事などをお届け

ルッソ兄弟が製作総指揮!『デッドリー・クラス』とは!?


Deadly Class #1

 今朝、実写版の特報映像がネットに公開された『 DEADLY CLASS 』。
『アベンジャーズ/インフィニティ・ウォー』の監督であるルッソ兄弟が製作総指揮を務めるこの作品はオリジナル作品の大手 IMAGE から刊行されている同名コミックが原作。
 世界中から生徒が集まる暗殺者養成学校を舞台に新しく編入してきた少年が危険な世界に踏み込んでいく姿を描いた人気作品で、現在#33(合本だとVol.6)まで刊行されている。

 今回の記事ではこの『 DEADLY CLASS 』を紹介しよう。

あらすじ

 1987年、サン・フランシスコ。
 浮浪生活を送る少年マーカスは警察に追われていたところを謎の日本人少女サヤに救出される。やがて老人リンと引き合わされた彼は暗殺者養成学校キングス・ドミニオンへの編入をオファーされ、入学を決意。若きギャングやヤクザの子息、スパイの嫡男など危険で個性豊かな面々が集まる中、彼は少しずつ自らの居場所を探し求めていく。
 だが彼は自らが入学を許された理由にまだ気付いていなかった…。

主要キャラクター


Deadly Class #6(右からマリア、ウィリー、マーカス、ビリー(ここでは解説せず)、サヤ)

マーカス
 本作の主人公。幼い頃に父が政争に巻き込まれたため家族でニカラグアから米国に亡命してきた。しかし、5歳の時に飛び降り自殺に巻き込まれて両親は死亡、以来少年時代の大半を孤児院で過ごす。
 やがてその劣悪な環境に耐えきれず脱走を図った際、施設にいる全員を殺害したチェスター(下記参照)の罪をなすりつけられ、1年ほど浮浪生活を送っていた。警察に追い詰められていたところをサヤらキングス・ドミニオンの生徒に助けられ、リンから学園への入学をオファーされる。
 本作のライター Rick Remender は幼少時代に家庭の都合で何度も転居を重ねており、マーカスは常にアウトサイダーだったそんな当時の自分を反映しているとか。

サヤ
 日本の巨大ヤクザ組織クロキ組の長女。現在は事情により家元を離れてキングス・ドミニオンにおり、校内の日系を仕切っている。
 身のこなしが軽く、刀の扱いが上手いことから暗殺術に関しては学年でもトップレベル。一見冷酷だが、年相応の衝動的な行動を取ることも。
 他の生徒の前ではマーカスに対して素っ気ない態度をとるものの、最初リンのオファーを断ったマーカスの身を担保するなど彼を気遣う素振りも。
 いかにもアメコミに登場しそうな忍者ヤクザ系ジャパニーズ・ガールだが、細部の設定や言動は意外にまとも。

ウィリー
 初めての殺人実習でペアを組んだことから親しくなったマーカスの親友。ロサンゼルス出身で父親は高名なギャングだった。父を殺害した抗争相手を返り討ちにし、数えきれないほどの敵を血祭りに上げたと言われているが…?

マリア
 南米出身の少女。学園内のラテンアメリカ系ギャングを率いるチコのガールフレンドだったが、ある事件をきっかけにマーカスと急接近する。暗殺を行う際は”死者の日”(メキシコを中心に行われる伝統的な祭り)にまつわる衣装を身に着け、鉄扇を使う。
 話が進むに連れてどんどん可愛くなっていく。
 
シャブナム
 キングス・ドミニオンに入学したマーカスとルームメイトとなった少年。スクールカーストの底辺にいるものの、処世術に長けており、生き残るためには手段を選ばない。同学年のケリーに恋心を抱いている。

チェスター
 かつて孤児院でマーカスと相部屋だった青年。脱走の際に自らの顔を爆弾でずたずたにしたマーカスをつけ狙う。残酷な性格をした狂人だが計算高さも併せ持つ厄介な相手。

マスター・リン
 先祖代々運営してきたキングス・ドミニオンの現学長で、学園にマーカスを招き入れた張本人。冷酷無比かつ厳格な性格で、規則を破った生徒には相応の罰を与える。

メイン・クリエイター

Rick Remender (ライター):
 かつてマーベルにいた頃に VENOM 、 UNCANNY X-FORCE 、 UNCANNY AVENGERS などといったタイトルで次々とヒット作を飛ばした人物。
 2013年頃からはオリジナル作品に集中するようになり、本作の他に海底ファンタジー『 LOW 』やパラレルワールド SF 『 BLACK SCIENCE 』などを発表している。
 長期的な視野で物語を作り上げ、少しずつ積み上げた内容をクライマックスで一気に落とす展開を得意とする。作品を読むなら合本などで数冊いっぺんに読むのがオススメ。
 オリジナル作には SF が多い彼だが、『 DEADLY CLASS 』はそういった要素を全て排除した青春サスペンスとなっている。

Wes Craig (アーティスト):
 本作が出世作となった人物。
 必ずしも DC やマーベルといったスーパーヒーロー系の画風ではないものの、勢いのあるアクション・シーンは本作のようなハチャメチャなバイオレンス物にぴったり。とりわけ乱闘シーンのスピード感はたまらない。戦闘を細かなコマで刻むレイアウトにも注目したい。
 ライターとしても活躍しており、現在は『 GRAVE DIGGERS UNION 』( IMAGE )を手がけている。

魅力


Deadly Class #30

 本作の魅力は『 DEADLY CLASS 』というタイトルに集約されている。

 暗殺者養成学校などという設定は他の場所でも見たことがあるだろう。日本の漫画やアニメでも同じような作品はゴマンとある。
 しかしそういった作品の多くは蓋を開けてみれば皆仲良しだったり、暗殺者を自称する割にヒーロー然としていたりと、死の匂いが皆無だ。

 本作はその限りではない。どのキャラクターも死と隣り合わせ。いつ誰がどんな風に死んでもおかしくない雰囲気が作品に充満している。
 そしてそんな常に死を意識せざるを得ない中でマーカスを始めとした登場人物達が短い青春を謳歌しようとする姿は見ていて儚い。
 人間ドラマは誰もが共感できる痛みをリアルに紡ぎながら、戦闘シーンは徹底して凄惨な暴力を描く。 — このギャップこそが本作最大の魅力だ。

 暴力の血と青春の涙に塗れる少年少女の姿は痛々しくも息を呑む迫力。
『 DEADLY CLASS 』というタイトルに嘘はない。

 連載が長期化するにつれて初期に勢いが衰えていく作品が多い中、本作は逆に号を追う毎に面白くなっていく。個人的には今最も続きが待ち遠しい連載作品だ。
 現在コミックでは2年目に進級したメンバーと新入生メンバーが入り混じってサヤの古巣クロキ組を相手取るストーリーが山場を迎えており、今後も目を離すことができない。

 2019年の実写版を観る前に原作コミックを読んでこの危なく切ない世界を堪能しよう。

オススメな読み方

 
 上でも述べた通りライターの Rick Remender は長期的なヴィジョンで物語を構築するため、 #1 とか Vol.1 だけではその面白さがわかりにくい。
 なのでこれから原書で読むという人は Vol.3 か 4 までいっぺんに買って読んでしまうのがおすすめ。

 最近#16までまとめたハードカバー版が出たようなのでこれなんか良いかと。 


Deadly Class 1: Noise Noise Noise