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早くも映像化決定!? 期待のニューヒーロー ”ミズ・マーベル”


Ms. Marvel Volume 1: No Normal (Ms Marvel)

 マーベル・スタジオのトップ Kevin Feige が” MS. MARVEL ”の映像化企画が進行中であることを明かした。
 誌面デビューからまだ5年も経たない彼女だが、既にその人気は往年のヒーロー達と同等あるいはそれ以上。実写化されれば今後の MCU の片翼を担う存在となることは間違いない。

 今回の記事ではそんなミズ・マーベルことカマラ・カーンについて解説しよう。

カマラ・カーン

 キャプテン・マーベルを始めとしたスーパーヒーローに憧れる少女カマラ・カーンは、マンハッタンから少し離れたジャージーシティに住む16歳。パキスタン系ムスリムの家庭で生まれ育った彼女は他の友人らのように奔放な日々を送りたいものの、過保護な家族がそれを許さない。

 そんな彼女はある日、遂に両親の言いつけを破ってパーティーに出かけた彼女は、その帰りで偶然近所に立ち込めていたテリジェン・ミスト(特定の遺伝子を持つ人間をインヒューマンに変えてしまう霧。この時期、世界中に散らばっていた)を浴びてしまう。
 やがて目を覚ました彼女はキャプテン・マーベルそっくりな姿に変わっていた!

 やがて自らに変身能力があることを知った彼女はスーパーヒーローとしての道を歩み始めるが…これが思ったようにはいかない!

能力

 インヒューマン(あるいはニューヒューマン)であるカマラは自分の体を自由に変形させることができる。そんな彼女は” EMBIGGEN (大きくなれ!)”のかけ声と共に拳など身体の一部を巨大化させて戦うことを得意とする。


Ms. Marvel Vol. 8: Mecca

 また変身能力ににまつわる回復能力も備えており、銃撃を受けてもすぐに治癒してしまう(ただし回復にはエネルギーを消耗するためその間は変身能力が使えないなどの能力制限が発生する)。

 完全な別人や無機物になることも可能だが、使い道がないのか好みの問題なのかあまり使わない。
 
 主な弱点には電磁波攻撃が挙げられ、一度 EMP を喰らった際にはしばらく変身能力が使えなくなることもあった。

クリエイター達

 ミズ・マーベルことカマラ・カーンを初めて世に送り出したのはライターの G. Willow Wilson とアーティストの Adrian Alphona 、それに編集の Sana Amanat や Stephen Wacker ら。

  Wilson はそれまでも CAIRO や AIR といったインデペンデント系作品で一定の評価を受けていたが、『ミズ・マーベル』によって一気にその名が知れ渡った。クリエイターの交代が頻繁なスーパーヒーロー業界において、現在まで一貫してシリーズのメイン・ライターを務めている。

  Alphona もかつて Brian K. Vaughan と共にマーベルから『ランナウェイズ』を世に送り出したヒットメイカー。ランナウェイズの連載から離れて以降はめっきり絵を目にする機会が減っていたが、本シリーズで見事なカムバックを果たした。
 細い線でユーモアある絵を描き、随所に可愛く不思議な小動物をしのばせるのも魅力の1つ。

 アートでは他にも日本のアニメを意識した絵柄の Takeshi Miyazawaya や、第1シリーズのカバーの大半を手がけた Jamie McKelvie など、必ずしもスーパーヒーロー物のメイン路線ではないもののカジュアルで親しみやすい絵を描くクリエイターが数多く携わっている。


Ms. Marvel Vol. 2: Generation Why (Ms. Marvel Series)

 

人気のワケ

 白人男性の比率が高いスーパーヒーローの世界において、カマラ・カーンのムスリム系女子というバックグラウンドは珍しい。マーベル初のムスリム系ヒーローのソロタイトルということでシリーズは刊行当初から一般メディアに取り上げられるなど話題になった。

 中にはマイノリティ読者を意識した味付け程度の設定なのではないかと疑う者もいたが、実際に連載が開始されるとすぐにそうではないことが明らかとなった。 
 カマラのムスリムとしての顔は物語のあちこちに顔を覗かせるものの、押し付けがましい感じはなく、むしろ彼女の日常生活を豊かに彩る要素の1つとなっている。
 
 そんな日常生活とスーパーヒーローとしての活動を両立する彼女の姿はかつてのピーター・パーカーを彷彿とさせ、21世紀のスパイダーマンと言われることも。

 また『ミズ・マーベル』シリーズは上でも述べたようにクリエイター陣が比較的一貫していることや、クロス・オーバーに振り回されにくいストーリーなどといったことも多くの読者から歓迎されている。

代表的ヴィラン

 単独での活躍は勿論のこと、アベンジャーズやチャンピオンズの一員としても既に多くのヴィランと戦っている彼女だが、代表的なヴィランとしては初期に戦ったインヴェンターが挙げられる。

 とある科学者がトーマス・エジソンのクローンを生み出そうとしたところ、誤ってそのDNAをペットのオカメインコのものと混ぜてしまったことで生まれたインヴェンター。見た目は巨大なオカメインコだが人語を解し、また発明家を意味する名前の通り天才的な発明家でもある。
 
 生体電気を利用した発明の実験を行うために若者を誘拐していたところ、カマラにその存在を察知され野望を阻止された。
 今回の実写映画でもヴィランとして使われる可能性は高いかと思われる。

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 一度シリーズは刷新されているものの、クリエイター陣はほぼそのままだし、まだそんなに数も多くないので最初から読むのが無難かと。


 戸惑いながらも一生懸命なカマラの活躍はとにかく見ていて楽しい。
 今はまだ実写化企画が浮上したばかりの彼女だが、劇場公開された日には『ブラックパンサー』と同等かそれ以上の社会現象となるものと目される。

 実写版に先駆けて原作コミックで彼女の活躍を読んでみよう。