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SKRULL KILL KREW (MARVEL, 1995 - )


Skrull Kill Krew #1 (キンドル分冊)

 侵略者を撃て!

あらすじ

 授業中に突如乱入してきた2人の男 — Ryder と Moonstone は生徒の目の前で教師らを殺害する。驚く子供達。しかし地面に転がると死体はすぐさまその正体を現した。緑色の皮膚、割れた顎、尖った耳…それは変身能力を持つ異星人 Skrull だった! Ryder 達は新たな同志をリクルートするべく青年Diceと接触するが…。

Grant Morrison と Mark Millar

  Marvel でもすっかりお馴染みの変身宇宙人 Skrull の皆さん。 FANTASTIC FOUR #2 にて初登場した彼らはその際に地球侵略を試みるものの、 FF の力に屈して退却。地球に残された3人のスパイは Reed Richards の案で牛に変えられ、家畜として生きる道を — 。

 …いやいや、現代の価値観で過去を判断することは野暮というもの。何たって Spider-man が Sandman を掃除機で吸ってやっつけていたような時代なのだ。宇宙人が肉牛になったっていいではないか。

 さて、肉牛になった Skrull 達はその後どうなったか?
 途中経過を多少端折って結果から言うと彼らは肉になった。無論、食用。具体的に言えば、哀れな Skrull 達はハンバーガーのパテとなったのである。
 そしてそんなスクラルバーガーを美味しく召し上がったアメリカンな若者達は変身能力と Skrull の変装を見破る能力を手に入れる代わり、徐々に脳が侵され死にゆく運命に…。

 そんな良くも悪くも90年代らしいワルノリ作品を手がけたのはライター Grant Morrison と Mark Millar のコンビ、そしてアーティストの Steve Yeowell ら。
 通常見て見ぬふりされる過去の作品を発掘して現代に甦らせる Morrison らしさは面白い一方、スーパーヒーローをおちょくる Millar の悪さも出ている如何ともし難い内容。いちいち神経を逆撫でするような物言いはもう少しどうにかならなかったのかなと思わんでもない。

 一時は大型ライターコンビとして知られていた Morrison と Millar だが、2人は”スーパーヒーロー”あるいはそれにまつわる世界観に対するアプローチの方法が大きく異なる。つまり、前者がスーパーヒーローの良い面を探すのに対し、後者がスーパーヒーローの悪い面に着目するのだ。
 だから同じキャラクター、例えば Superman を描いていても Morrison は ALL STAR でその神性を前面に押し出すが、 Millar は人間としての脆さや危うさをRED SONで描く。
 2人の姿勢に優劣は存在しないが、むしろ読み手によって読んだ時の印象は大きく異なってくる。

 そんな正反対な2人の合作にはアンバランスな雰囲気が漂い、本作もその例外ではない。 Skrull Kill Krew というチームもさることながら、途中でゲスト出演する Captain America や Fantastic Four といったヒーローなどにも独特の危うさが漂う。

 今ではほとんどやり取りのない2人が手がける本作はそれぞれの特徴を際立たせると共に、やがて来る決裂の予兆のように読むことができるかもしれない。


こんな人にオススメ!

・普通のスーパーヒーロー物に飽きちゃった

・ちょっと過激なアクションが読みたい

・ Grant Morrisonや Mark Millar が好き


Skrulls Must Die! - The Complete Skrull Kill Krew(本作を含む合本)