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ULTIMATE GALACTUS TRILOGY (MARVEL, 2004 - )


Ultimate Nightmare #1(第1章)

 宇宙大魔神…じゃない!

あらすじ

 突如、全世界の放送網に流れ始めた破壊と死の光景。 S.H.I.E.L.D. 率いる Nick Fury はその発信源がロシアのツングスカにあることを特定すると、 Steve Rogers 、 Black Widow 、そして Sam Wilson らと共に旧ソ連の研究施設へ潜入を試みる。一方その頃、テレパシーで同様の光景を目にした Professor X はこれをミュータントの仕業であると推測し、 Jean Grey ら X-men をツングスカへ急行させる。だが滅亡へのカウントダウンは既に始まっていた…。

Galactus というシンボル

 巷が Thanos で盛り上がる中、敢えて Galactus を取り上げてみようかと。以前別の記事でも書いたけど、ノリは結構今回の映画に近いと思うし。

  ULTIMATE NIGHTMARE, ULTIMATE SECRET, ULTIMATE EXTINCTION の3作品からなるこのトリロジーでは、地球に向かってくるアルティメット版 Galactus 、 Gah Lak Tus の脅威に対して、 Ultimates らヒーロー達がその動向を察知してから衝突するまでを描く。
 
 元々は ULTIMATE の大型イベントとして、 ULTIMATES のライターでありアルティメット・ユニバースの立役者でもある Mark Millar が担当する筈だったものの、彼がスケジュールの都合と体調を崩したことにより、代打として友人の Warren Ellis が担当することとなった。そのため物語の序盤は Millar が考えた要素も多いようだが、2章3章と進むに連れて Ellis らしさが色濃くなっていく。

 さて、宇宙大魔神 Galactus から集合意識を共有する無数のマシン Gah Lak Tus への設定改変が一部ファンから怒りを買った本作。2007年のFF映画に登場した際も Galactus がとんがり帽を被った紫の巨人でないことは大きな批判を呼んだが、こういった出来事は翻っていかにこのキャラクターがマーベルのシンボル的存在になっているかということを示唆している。

 そもそも1966年に初めて FANTASTIC FOUR 誌に登場した時の Galactus は、リアル感よりもインパクトを重視したジャック・カービィの絵柄や、当時マーベル・ユニバースがまだ何でもありな黎明期だったという事実があったからこそあの容姿でも読者に受け入れられたのであって、現代を舞台に同じことをやってもこう上手くはいかないだろう。

 ところが Galactus は今やそのシンボル性だけが1人歩きするようになり、あのパープル大魔神らしさを少しでも変えようとすればそれがどんなに説得力のある存在であっても”往年のファン(笑)”からどうしてもお叱りを受けることになる(ただしこれは逆を返すと、例えば今後 MCU なんかに Galactus を出そうとすればコミックそのまんまの姿でもある程度通用するということでもある)。
 本作でも Ellis はかなり良質なストーリーと本格 SF 的な設定を与えて Gah Lak Tus を登場させたものの、結果は上の通りだ。

 このことを考えると、本作はマーベル・スーパーヒーローとは一度切り離して捉え、 Ellis による SF 作品として読んだほうが楽しめるかもしれない。


本作はこんな人にオススメ

・良質なSFが読みたい

・設定改変とかある程度許容できる



Ultimate Secret #1(第2章)


Ultimate Extinction #1(第3章)




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