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映画の後はコミックだ!マーベル『フレッシュ・スタート』徹底解説!(1/3)

いよいよ公開が間近に迫った『アベンジャーズ/インフィニティ・ウォー』。中には本日前夜祭を観に行くという人もいるだろう。

 さて、そんな MCU ファンの中には今回の映画を機に原書で最新のアメコミを読み始めたいという者もいるんじゃないだろうか。

 はい、そんなあなたに朗報です。

 現在マーベルでは編集長の交代など大人の事情に伴い、10年に1回かもしれない大改革が進行中。新規読者を開拓するため現在可能な最大限までハードルを下げた新ラインナップ『フレッシュ・スタート』を来週から刊行開始する予定だ。

marvel.com
リンクはマーベル公式サイト

 そこでこのブログでは今回から3回くらいかけて新ラインナップ『フレッシュ・スタート』15作品全てについて紹介し、各作品を読む前に必要な予備知識などを解説していきたいと思う。
  
  MCU の興奮をそのまま、新たなマーベル・ユニバースに飛び込もう。

今回紹介するのは以下の5作品。

1.AVENGERS #1

WRITTEN BY JASON AARON
ART BY ED MCGUINNESS


Avengers by Jason Aaron Vol. 1 (Avengers (2018))(今秋発売予定の合本)

ラインナップの先陣を切るのはフラグシップタイトルでもあるアベンジャーズ。

 メンバーはソー、キャプテン・マーベル、ブラックパンサー、キャプテン・アメリカ、アイアンマン、シー・ハルク、ゴーストライダー、そしてドクター・ストレンジという構成。
 スティーブ、トニー、オーディンソンというビッグ3が久々に顔を揃える一方、新ゴーストライダーのような新顔もいてバランスが取れている印象。
 ただしこの面子で固定というわけではなく、少なくとも1枠は頻繁に入れ替わるとか。


 クリエイター陣も妥当な人選で、今やマーベルの頼みの綱ともいうべきライター Jason Aaron と、肉弾戦からコズミックまで何でもござれなスーパーヒーロー系アーティスト Ed McGuinness 。
 Aaron はソー、ゴーストライダー、ドクター・ストレンジの3人に関して、過去にソロタイトルを手がけていた時期があるので安心して任せられる。


 本作に関しては2つのプロローグとなる作品がある。昨年秋に刊行された『 MARVEL LEGACY #1 』、そして今度の5月5日にフリー・コミックブック・デーでマーベルが配布予定の『 FCBD 2018 AVENGERS CAPTAIN AMERICA 』(ただしこちらに関しては発売日が前後する模様)だ。
 そちらで起こったことを本シリーズで全く説明しないような不親切はないと思いたいが、読んでおいた方が話にすんなり入れるかもしれない。
 一応『 MARVEL LEGACY #1 』で本作と関係あるかもしれない要素を以下箇条書きにしてみる。

・先史時代のアベンジャーズともいうべきチームが登場。地球にやって来た1体の暴走セレスシャルズと対戦。メンバーは下の通り。

 −ムジョルニアを使うオーディン
 −フェニックス・フォースを宿した女性
 −燃える骸骨を有し、マンモスを駆るライダー
 −ハルクに似た巨躯のスターブランド
 −黒豹の毛皮を被った男性
 −アガモットと呼ばれる千里眼の魔術師
 −アイアンフィストを操る女性

・現在に時代が移り。ケープタウンにやって来たゴーストライダーことロビー・レイエスが現代版スターブランドから襲撃を受ける。どうやらゴーストライダーが” The Fallen ”と呼ばれる何者かと接触して” The Final Host “を招くのを阻止したい様子。結局スターブランドは敗北というか消滅。

・戦闘のすぐ近くで発掘作業をしていた考古学者らが上の先史時代版アベンジャーズと戦っていたセレスシャルと思しき者(これが” The Fallen ”?)を発見。セレスシャルは” Final Host “を呼び寄せようとする。
 なお、セレスシャルの”ホスト”とは、地球などで生態系を弄って進化を促した彼らがその様子を見て良い感じならさらに弄ったり、逆に出来損ないなら絶滅させたりする抜き打ち家庭訪問みたいなもの。

・組織解体された S.H.I.E.L.D. の倉庫施設からのインフィニティ・ストーン回収を諦めたロキが上のセレスシャルと接触。

…とこんなところか。フリー・コミックブック・デーの作品では今のところオーディンと(現代の?)ブラックパンサーのやり取りが描かれる模様。

予習に読みたい作品:


Marvel Legacy (2017) #1

FCBD 2018 AVENGERS CAPTAIN AMERICA (2018)


2.VENOM #1

WRITTEN BY DONNY CATES
ART BY RYAN STEGMAN


Venom by Donny Cates Vol. 1 (Venom (2018))(今秋発売予定の合本)

 トム・ハーディ主演の実写版の影響もあってか、ここ最近あっちにくっついたりこっちにくっついたり忙しくなく動き回っていた共生体が最初の宿主であるエディ・ブロックと再び融合。先の SECRET EMPIRE 後、組織解体に追い込まれた S.H.I.E.L.D. の施設から蘇った古代の”何か”と対峙するような内容になるらしい。


 ライターの Donny Cates は今をときめく売れっ子作家。ホラーやダークファンタジー作品に定評があり、本作への抜擢も海外のファンからは概ね好意的に受け止められている。

 アートの Ryan Stegman はこれまで AMAZING SPIDER-MAN 誌などを手がけており、その中でも何度かヴェノムを描いている。公開されているプレビュー・ページでは顔の彫りが深く、筋骨隆々としたエディ・ブロックの姿を見ることができる。デビュー初期の彼に近い絵柄となるのかも。


 「歪んだ正義感の持ち主」などと言われることが多いヴェノムだが、ここ最近はむしろトラブル・メーカーとして描かれることが多く、読者からの人気にも陰りが見えていた。今回のシリーズで再び独自の正義感で悪を裁くアンチ・ヒーローとして返り咲けるかが注目どころ。


 ここ最近 VENOMVERSE や VENOMIZED といったヴェノム関連イベントが進行しているものの、本作とはあまり関わってこないものと思われるので事前に読む必要はないだろう(ググればややこしいことだけはわかる)。頭をごちゃごちゃさせるよりはすっからかんで挑んだほうがすんなり話に入れるかと思われる。

 以下に掲載するのも必読というほどではなく、余裕がある人だけ”エディ・ブロック=ヴェノム”の経歴 (LETHAL PROTECTOR)と近況 (現行シリーズ) をさっくり知るために読んでおけばよいかと。

予習に読みたい作品:


Venom: Lethal Protector (Issues) (6 Book Series)


Venom (2016-) (Issues) (23 Book Series)

 

3.BLACK PANTHER #1

WRITTEN BY TA-NEHISI COATES
ART BY DANIEL ACUÑA

画像なし

  MCU ソロタイトルもあって現在人気がうなぎのぼりのブラックパンサー新シリーズ。
 ライターは2016年から彼を描いてきた Ta-Nehisi Coates が続投。アートにはこれまで DC やマーベルでちょいちょいアートを提供してきたものの、本格的にメイン・アーティストとして就任するのはおそらく初めてであろうスペイン出身の Daniel Acuña 。


 新シリーズでは先の『 MARVEL LEGACY #1 』においてちらっと登場した”ワカンダ銀河帝国”を舞台にブラックパンサーが宇宙で活躍する内容になる模様。この黒人を主人公に大規模なSFストーリーを描くという方針もアフロフューチャリズムの観点から方々で注目されている。

 ただマーベルから発表されたあらすじを見ると、どうもこの銀河帝国はマルチバース、つまり並行世界のものである可能性があり、アベンジャーズとして地球でもブラックパンサーが必要とされる矛盾をどう解消されるのか含め、現時点ではどういう話になるのか全く予想がつかない。


 インタビューで Coates はこの新シリーズから読み始めて問題ないと述べているものの、これまでの彼のランを読んでおいても損はないかと思われる。

予習に読みたい作品:


Marvel Legacy (2017) #1


Black Panther (2016-) (Issues) (27 Book Series)


4.IMMORTAL HULK #1

WRITTEN BY AL EWING
ART BY JOE BENNETT


Immortal Hulk Vol. 1 (Immortal Hulk (2018))(今冬発売予定の合本)(画像は表紙の一部)

  CIVIL WAR II で死亡した後、最近 AVENGERS 誌で復活を果たしたオリジナルハルクことブルース・バナー。その際に何やら不死の能力が開花したようで、新シリーズは殺すことのできない怪物となって夜な夜な出没するハルクをホラーテイストで描く模様。


 ライターの Al Ewing はこれまで ULTIMATES などで方々から高い評価を受けていたものの、小粒なタイトルを担当することが多かったためかこれまで日の目を見なかった。ハルクのソロタイトルという大役で大きく突出できるか期待がかかる。

 アートにはこれまでスーパーヒーロー系の描き手として DC やマーベルで数多くの作品を担当してきた Joe Bennett というこれまた悪くないチョイス。あちこちで絵はみかけるもののこれといった代表作があまりないので今回のシリーズでは長く続けて頑張ってほしいところ。


 作中ではあちこちで化物扱いされている割に、どちらかと言えばアンチ・ヒーローとして描かれることの方が多いハルク。
 今回のシリーズで「夜になると出現するハルク」は一見新しい設定のように思えるが、実は一番最初にジャック・カービィらの手でデビューを果たした時の原点回帰に他ならない(今回の” IMMORTAL “という題も#1のナレーションから取ってきたものと思われる)。
 わずか3号で廃棄された設定を再び引っ張り出してくるあたり、 Ewing らが初期のモンスターとしての彼を蘇らせようという意気込みが伝わってくる。

 個人的には一番期待しているタイトルかも。


 最近蘇ったことだけ知っていれば十分と思われるが、あるいは上記の通り初期作品に絡めてくる可能性もあるので、余裕がある人は初期の6冊くらいは読んでおいても損はないかと。

予習に読みたい作品:


Incredible Hulk Epic Collection: Man Or Monster? (Incredible Hulk (1962-1999))


5.DOCTOR STRANGE #1

WRITTEN BY MARK WAID
ART BY JESÚS SAIZ


Doctor Strange by Mark Waid Vol. 1 (Doctor Strange (2018))(今冬発売予定の合本)

 クリエイター陣の刷新が伴うタイトルはその多くがキャラクターの原点に立ち返る傾向がある中、やや奇をてらった印象のドクター・ストレンジ新シリーズ。

 アガモットの目が閉じてしまったことで地球の魔力から切り離されてしまったストレンジが、差し迫った危機に立ち向かうべく宇宙へ進出するというSF成分多めな内容になるようで。


 ライターの Mark Waid はこれまで FLASH や DAREDEVIL など数多くのヒーローを手がけてはそれらを人気シリーズの座に押し上げてきたヒットメーカー。ここ最近の AVENGERS や CHAMPIONS は不発と言われているものの、それはあくまで彼基準であればの話で市場全体の平均と比べれば安定の高いクオリティを維持しているかと思われる。
 今回の新シリーズもこれまでと雰囲気はかなり異にするものの、少なくともストーリーが破綻するようなことはないだろうし、むしろ大化けして新時代を築き上げるかもしれないという意味では試しに読んでみる価値はある。

 アートを担当する Jesús Saiz はつい最近まで Waid と共に AVENGERS 誌を担当していた描き手。ここ最近急速にメジャータイトルを担当することが増えており、着実にキャリアを積み上げているといった印象。過去の作品を見る限りではドクター・ストレンジのミスティカルな世界にもマッチしているように思えるが、今回の新基軸でどういった絵を見せてくれるかまだわからない。


 これまでのシリーズとはまるで方向性が違うこともあり、事前に読んでおいた方が良さそうな作品というのは特に見当たらない。むしろ過去作を読んで下手に先入観を持つよりはまっさらな状態で本作に飛び込むことをおすすめする。

予習に読みたい作品:

特になし




…というわけで、以上が今回紹介するマーベル『フレッシュ・スタート』の5作品。
 早い作品では来週からシリーズ刊行開始なので、気になる作品があったら是非手にとってみよう。

 第2回はまた1週間後くらいに書こうと思うのでそれまで乞うご期待。