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MCU談義:サノスの目的と”魔法”の存在しない世界

 さて、今日のMCU談義では根本的な問いについて考えてみることにする。

 
 現在MCUは「サノスが来るサノスが来る」と盛り上がっているものの、どこかもやもやした感じはないだろうか。

1.はじめに

 ではひとまず哲学の祖ソクラテスに学び、産婆術で問題をあぶり出そう。


 
Q.どうしてサノスが来る?
A.地球にインフィニティ・ストーンがあるから。
Q.ではどうしてインフィニティ・ストーンを欲しがる?
A.インフィニティ・ガントレットを完成させるため。
Q.完成させてどうすんの?
A.指パッチンで銀河の生命を半分死滅。
Q.で?
A.…。

 おそらく多くの者がここで思考停止に陥るのではないだろうか。じつはサノスに関する説明の多くでこの根本的な部分を説明しているものはほとんど存在しない。
 
 ただ、原作を読んでいる者ならあるいは

A.デスに死を捧げるため

 と答えるかもしれない。

2.デス

 原作コミック未読の方のために説明すると、デスとは死の概念が具現化した超越的存在でサノスが恋する相手。今回の映画の原案であるコミック『インフィニティ・ガントレット』や『キャプテン・マーベル』などにおいて、サノスは死を司る彼女に捧げる目的でインフィニティ・ガントレットを使い、銀河の生命の半数を死に至らしめようとするのだ。

 さて、ここで「死を司るのってヘラじゃないの?」と思った方もいるだろう。

 そう、MCUでは死を司る神として『ソー:バトルロイヤル』にヘラが登場したばかりなのだ。
 このタイミングでマーベル・スタジオは「死を司る存在」をもう1人出そうとするだろうか?

 さらに言えば私はそもそもデスなる存在がMCUに存在するということ自体に懐疑的だ。
 
 それは何故か。
 
 MCUには魔法が存在しないからである。

3.MCUの”魔法”

「何言ってんだ。MCUにはドクター・ストレンジもいりゃ、エージェント・オブ・シールドにもゴーストライダーが出てるじゃないか。あいつら使ってんのが魔法じゃなけりゃ何だってんだ」

 ご尤もな意見だと思う。
 しかし、だ。
 英語が読める方はIGNがジョス・ウェドンに対して行ったインタビューを以下のリンクから参照願いたい。あるいはネットでMCUの魔法に関する説明を見て欲しい。

www.ign.com

 これによると、MCUで「魔法」と呼ばれているものは実際には異次元の”科学”であり、人類がまだ到達していない”科学”に過ぎないという。
 ドクター・ストレンジにしろゴーストライダーにしろ、彼らの能力は「異次元の物理現象を操る」術であり、決して純粋な意味での”魔法”ではないのだ。こじつけ感は半端ないが当のマーベル・スタジオがそう言っているのだから致し方あるまい。

4.再びデス

 さて、デスの問題に戻ろう。
 ヘラは自らを「死の女神」と称していたが、彼女は結局1人のアズガルド人だ。そして確認して頂ければわかる通り、アズガルド人とは「人類が見たら魔法と見紛うほどの高度な科学を有した宇宙人」でしかないので、彼女はMCUにいても問題はない。

 しかしデスはどうか?
 死という概念そのものが具現化した存在など、高度に発達した科学だの異次元の物理だので果たして説明をつけられるだろうか?

 もっと言おう。
 サノスがデスに恋をして銀河の生命を半分に減らそうとする展開は、70年代にマーベルのコズミック界を牽引していたジム・スターリンの神話的世界観があったからこそ説得力があったのだ。

 MCUが素晴らしいことは認めるものの、その世界観が”神話的”と呼べるかと言われれば私は素直に頷けないし、もっと言えばこれまでの作品で散々ラスボス感を醸し出していたサノスが『インフィニティ・ウォー』で自身を覇道に衝き動かしていたのが恋心だなどと説明した時には何だか気持ちが萎えてしまいそうだ。

 結論を言ってしまえば、私はMCUにデスの存在はなく、MCUのサノスは原作コミックのサノスと全く異なる理由でインフィニティ・ガントレットを完成させようとしているのではないかと思っている。

5.サノスの目的

 
 少なくとも単純に力を求めているとは考えにくい。彼が力を求めるのには何らかの考えに基づいてのことだ。

 最初の方でサノスの行動動機の根本的な部分について説明しているものはほとんどないと述べたが、中にはそれに言及しているものもあり、その1つである海外のファンによるウィキ(Thanos | Marvel Cinematic Universe Wiki | FANDOM powered by Wikia)
の内容を一部抜粋要約すると

1)若き日のサノスは破滅の危機に瀕した故郷タイタンを救おうとしたものの、彼の大胆な手段は他のタイタン人から退けられ、結局タイタンは滅びた
2)サノスは銀河の生命を半分にして均衡状態を形成することでその自滅を防ごうとしている

のだという。

 銀河の生命を半分にすることで均衡状態が生まれるとはどういうことだろう?
 単純に今の我々が抱える人口問題のアナロジーと捉えて良いのだろうか?
 そもそもタイタンが破滅の危機に瀕した理由とは一体何なんだろう?

 こうした疑問が生じる中、1つの可能性が浮上してくる。
 

6.仮説:サノスを超える存在

 仮に、だ。サノス以上の”何者か”がMCUに存在するとすればどうだろう。
 そして、タイタンを滅ぼしたのがその”何者か”であったとするならば。
 
 その存在はもしかすると宇宙全体の生命を管理するような超越的な存在であり、宇宙に増えすぎたタイタン人という「増えすぎた雑草」を間引いたのかもしれない。

 そしてこの悲劇を再び繰り返さないためにサノスはインフィニティ・ガントレットで銀河の生命を半減させ(そう考えると若き日のサノスが考案したという案もタイタン人の人口を自ら半減させることだったのかも)、あわよくばその”何者か”に対抗できる力を得ようとしているのかもしれない。

 これはあくまで仮説であり、私が何の証拠もなしに憶測だけで語っている夢物語だ。

 しかし、実は最近になってマーベル・スタジオが新たな作品の製作を近々発表するという噂が海外でまことしやかに囁かれている。そしてその作品は上に記したような「宇宙の生命を管理する超越的存在」と深く関わる作品になるという。

 サノスがインフィニティ・ガントレットを完成させようとする理由 — それは『インフィニティ・ウォー』より後のMCUに深く関わってくるのかも知れない。


7.終わりに

 てなわけで突然思いついたことをつらつらと楽しく書き留めてみました。
 上の仮説は9割が憶測で信憑性はほぼなし、物知り顔で語っちゃったりすると多分恥ずかしい目に遭うと思うので、あんま真に受けないで下さいねー。

 以上、今日のMCU談義でしたー。