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MIRACLEMAN VOL.1: A DREAM OF FLYING (MARVEL, 1982 - , #1-4)

 長らく封印されていた名作の復活。


Miracleman Book One: A Dream Of Flying

 この世のものとは思えない強さと美しさを備える人物が仲間達と共に星々の間を飛び回っている内、突然まばゆい光に巻き込まれて燃えながら墜落するという不可解な夢に悩まされるフリー・ジャーナリストの Mike Moran 。原子力発電施設の前で行われる反対デモを取材しに来た彼はそこで放射性物質を盗みに来た武装集団に囚われるものの、ふと頭に浮かんだ” KIMOTA ”という言葉を口にした瞬間、夢に見た超人 Miracleman の姿に変身して相手を容易く下してしまう。18年近く失われていた記憶を取り戻した歓喜に湧いて空高く舞い上がる Miracleman — だが彼の復活を快く思わない者達がいることを彼はまだ知らなかった……。

 本当なら V FOR VENDETTA や WATCHMEN に並び立つほどの傑作である筈なのに版権に絡んで複雑な裁判沙汰となった結果長らくお蔵入りを余儀なくされていたためか、最近の読者にはいまいち浸透していないライター Alan Moore による初期の傑作(但しいまやすっかりへそを曲げてしまった彼は本作にクレジットされることを拒否しているため” The Original Writer ”として表記)。
 元々は1950年代に Captain Marvel を生み出した Fawcett Comics で連載されていた作品をアップデートしたもので、こちらのオリジナル版も Captain Marvel の存在を DC に訴えられた Fawcett が已む無く Captain の名称や容姿に変更を加えて……とかなり複雑な事情を抱えていたりする(ここで説明するのも面倒なので Wiki なりなんなりで調べてくれい)。

 肝心の中身に関しては、ここまではまだ序章だよねといおうか。 Moore が既存のキャラクターを扱う際に「あなたが今まで知っていたオリジンは全てデタラメだったのよ」と新事実を明かして一度しがらみを全て取っ払ってから自分なりの話を積み上げていくことは SWAMP THING などでもお馴染みの手だが、本巻はラストでそれをやっているので本格的に Moore の手腕を楽しめるのは次巻からになるものかと思われる。サイドストーリーをはじめとして既に Moore が終盤の展開に向けての布石を打っていることは伺えるものの、現時点ではまだまだ先の話でやや筋の通らないことばかりだし。
 実際、Marvelから再刊されていた当初に読んでいた私も本巻の内容だとまだ本作にピンときてなかった。
 
 それでも既に Moore の言葉遣いやアートは効力を発揮しているため、本巻はそれらを堪能しながら次巻以降に備えるまずは準備体操とでも考えると良いかもしれない。
 まあ、あくまで個人的な感想だけど。