VISUAL BULLETS

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BATMAN INCORPORATED (DC, 2012, #0-6)

 ん、何か雰囲気変わったかな。


Demon Star BATMAN INCORPORATED #01 DEMON (Batman Incorporated) [ Grant Morrison ]

 世界各地で暗躍する結社 Leviathan 、それを率いていた首領の正体は他ならぬ Talia Al Ghul であった。不死身のテロリスト Ra’s の娘であり、 Damian の母親でもある彼女は自らの意思に背き父である Bruce につき従う事を選んだ息子の命に対して莫大な賞金をかける。 Batman と Robin は Leviathan に立ち向かうべく、街の至るところに記された逆さ星の紋章 — Demon Star — を追い始めるが……。

  Morrison サーガの最終章とも言うべき BATMAN INC. の第2シリーズ。当初は副読本でも片手に時間をかけて読み進めようと思ってたんですがね。 Morrison の作品には他にも記事にしたい作品が山積みになっているし、ぶっちゃけじっくり分析するなんて性に合わないんで。むしろぱっと思ったことをつらつら書き連ねていった方が気付くことも多かろうと思い直し、さっさと読んでしまった次第。まあ、副読本自体は手元にあるので今後そちらを読んでいてまた気付くことがあれば記事にするなりツイートするなりしておこうかと。悪しからず。

 さて、 New 52 を跨いだことによるすったもんだがやや落ち着いて後半戦に突入した本シリーズだが、率直に読んだ感想を言うなら、物語の雰囲気がガラリと変わった印象を受けたというか。やや話の規模が小さくなったか。

 第1シリーズでは世界中の犯罪に立ち向かうべく世界各地の闇の騎士的ヴィジランテを招集して Batman を世界展開させるというスケールの大きな話が進んでいたのに、再始動した本作では#0を例外として舞台もほとんど Gotham なら、活躍するのも Batman や Robin といったいつもの面々ばかり。良く言えばこれまでワイド過ぎたかもしれないスポットライトを絞ったことで登場するキャラクターらへ感情移入がしやすくなったものの、ちょっと腰砕けな気分がしないでもない。
 またエンターテイメント性が強くなった分、初期のシリーズから感じられた Morrison のオカルティックなメッセージのようなものが感じられなくなったような感じも。この辺りは同時期に彼が手がけていた ACTION COMICS が本作とは逆にどんどんニュー・エイジ的な展開になっていったことと何か関係あるのかも(そのうちこれもやるかあ)。

 まあ、そんなわけで思うところがなかったと言えば嘘になるものの、話の面白さという点については上でも述べた通り話が引き締まった分上昇したわけで。
 いよいよ Bruce が RETURN OF BRUCE WAYNE で目にしたヴィジョンなんかも明らかになり終着点が薄っすらと望めるようになってきた一大サーガ。再び読むラストがどんな余韻を残してくれるのかじっくりと見極めてみたいかと思う。


Batman Incorporated Vol. 1: Demon Star (The New 52)